天候に恵まれ高糖度「ちちぶ山ルビー」販売

ちちぶ山ルビーの収穫をする田嶋巻雄さんHP

埼玉県秩父地域には、生産量が少なく市場にあまり出回らないため、幻のブドウとも称される、秩父限定品種「ちちぶ山ルビー」が栽培されています。今年は生育が例年より早く、早い農園では8月上旬から販売が始まりました。

長瀞町のみよし園で田嶋さんは、「ちちぶ山ルビー」を2,000房以上栽培します。

 

今年は、3月から気温が上がり、温暖な気候が続いたことからブドウの生育が全体的に10日ほど早くなりました。6月下旬から好天が長く続き、やや雨量不足ではあるものの、栽培に適した気象条件となり、良質で糖度の高いブドウに仕上がっています。

田嶋さんは「日照時間が長く、糖度約20度の良い山ルビーができている。多くの人が秩父地域に来て、おいしい山ルビーを味わって欲しい」と期待します。

 

農園は、家族やパートの4人で経営。約40aの圃場で、山ルビーの他、シャインマスカットやヒムロッドシードレス、巨峰など4品種を栽培します。

田嶋さんは、定年退職後、父が約40年前に開園した農園でブドウ栽培をして、20年になります。

地域の圃場はリン酸が多いため、大豆かすなどの有機肥料を主に土づくりをします。園内には農業用の白い反射シートを敷き、光の反射を利用して果実の品質向上を促します。また、雑草の防除にもなり、園内も明るく、足元も安定します。糖度の高いブドウの栽培を心掛けて販売します。

田嶋さんは「ブドウ栽培は重要作業が重なり、短期間に集中して忙しくなる。お客さんのおいしいの一言がとても嬉しく、そのために良いブドウを栽培する」と話す。

主な販路は農園の直売所で販売。各地からの来園者も多く、半数以上がリピーターです。

今年は8月上旬からちちぶ山ルビーを予約状況に応じて販売し、9月上旬には売り切れる見込みです。その後は、シャインマスカットや巨峰を9月下旬まで販売します。

 

ちちぶ山ルビーは、欧州系の高級品種「リザマート」と、香りと食味に優れた米国系品種「ピアレス」を両親に持ちます。皮ごと食べられ、平均糖度が17度以上あり、楕円で細長くきれいな鮮紅色(ルビー色)の果実が特徴です。栽培には高い技術と細かな管理が求められます。

秩父ぶどう組合連絡協議会の数名が、県外生産者との交流の中で、山梨県の農家が育成した同品種を試験的に栽培。平成16年頃から「山ピンク(仮称)」などの名称で試験的に少量販売しました。好評だったことから秩父の特産品の一つにしようと正式に山梨県の農家(育成家)と同協議会及びJAちちぶが契約。平成19年3月に公募した中から名称を決定し、商標登録しました。同協議会員のみが栽培でき、現在54農園のうち、34農園が「ちちぶ山ルビー」を約65,000房栽培しています。

価格は1kg(2房)2千円前後です。ちちぶ山ルビーは今年、9月上旬まで販売予定。予約すると購入しやすくなります。

 

ちちぶ山ルビー

ちちぶ山ルビー