養蚕農家の伝統 「小正月飾り作り」

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 長瀞町の養蚕農家の瀬能紀夫さんは、毎年、養蚕農家の伝統行事でもある小正月飾りを作り、養蚕倍盛とともに無病息災を願います。(本記事は令和3年1月に取材)
 飾り作りは年明け2日に始まり、山入りをして、飾りに使う「ニワトコ」や「オッカド」の木を集めます。3日からそれらの木や枝を使い、神棚に飾る「削り花」「粟穂(あわぼ)」「稗穂(ひえぼ)」「臼」、ニワトコの節間を削って花状にした「十六花(じゅうろくばな)」、トイレに供える魔除けの「守り刀」、小豆粥をかき混ぜる「粥かき棒」と食べるための「孕み箸」を作ります。作った飾りは、14日に正月飾りの松を外して飾り付けます。
 小正月飾りのうち、「十六花」に使う「ニワトコ」は、1年で枝が長く伸びることから縁起が良いとされます。節間16箇所を薄く削り、花に見立て、玄関や神棚などに飾ります。16という数字には、蚕の足が16本あることからともいわれます。
 瀬能さんは「昔は養蚕農家が飾りを毎戸作っていたが、今ではめっきり見なくなった。養蚕をやっている以上、一つの文化として守り続けたい」と話しました。